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Ascent Studio

CHAPTER 01知る

AI活用STEP 4

AI社員とは?小規模事業者が役割を分けて業務を進める方法

「AI社員」を誇張せずに整理します。実態は役割・入力資料・成果物・確認者・権限を決めたAI運用です。小規模事業者が継続できる形にする方法をまとめました。

この記事で分かること

結論:AI社員とは「5つを決めたAI運用」のこと

「AI社員」という言葉を見て、AIが人の代わりに働いてくれるものだと思う方もいるかもしれません。私が実際にやっているのは、それとは少し違います。

結論を先に書きます。AI社員とは、役割・入力資料・成果物・確認者・権限の5つを決めたAI運用のことです。人を雇う代わりではありません。

この記事では、なぜこの5つを決める必要があったのか、決めていなかったときに何が起きたかを、実際にAscent Studioというメディアを運営する中での記録として書きます。

AI社員という言葉を、実態に置き換える

「AI社員」という言葉には、勢いのある響きがあります。ただ、実際にやっていることは、もっと地味です。

決めるべき5つの要素

私が実際に決めているのは、次の5つです。

  • 役割 — 何を任せるか
  • 入力資料 — 何を読ませるか
  • 成果物 — 何を出させるか
  • 確認者 — 誰が確認するか
  • 権限 — どこまで判断してよいか

この5つを決めていない状態で「AIに任せる」と言っても、実際にはその都度説明し直すことになり、任せているというより、毎回相談しているのに近い状態になります。

チャットAIとの違いは「決めてあるかどうか」

普通にチャットでAIに質問するのと、ここでいうAI社員的な運用との違いは、技術そのものではありません。同じAIを使っていても、5つが決めてあるかどうかで、仕事の進み方がまったく変わります。

1つのAIに全部頼むと起きること

役割を決めずに1つのAIへあれこれ頼んでいた時期は、依頼のたびに同じ前提を説明し直していました。説明が毎回少しずつ変わるため、判断の基準もその場限りになり、前回と今回で結論が違う、ということが起きやすくなります。ここを整理するために決めたのが、次の5つです。

5つの要素を決める手順

私が実際に決めている順番で説明します。

役割 — 何を任せるか

まず、その業務のどの部分をAIに任せるかを決めます。すべてを任せるのではなく、「調査」「執筆」「実装」など、範囲を区切ります。

入力資料 — 何を読ませるか

任せる前に、どの資料を読ませるかを決めます。あるAIが最新の資料を見ていて、別のAIは少し前のものを見ている、といったずれが起きると、同じ前提で判断できなくなります。この点で困った経験もあり、AIに渡す前に整理する5つの情報のように、渡す情報をあらかじめ形にしておくことが有効でした。

読ませる資料は、毎回変わらないものと、その依頼だけのものに分けています。変わらない側には、事業やブランドの情報、業務の手順、サイトの仕様、これまでの変更履歴を置いています。依頼ごとの側には、今回の目的、対象、変更してよい範囲、完了の条件だけを書きます。この2つを混ぜると、毎回の依頼文がどんどん長くなっていきます。

一人で考えた内容を先に話して整理したいときは、短い音声から決定事項や次のタスクを見直したNottaの実機検証も参考になります。

成果物 — 何を出させるか

文章を出させるのか、コードやファイルを出させるのか、あらかじめ形を決めておきます。ここが曖昧だと、受け取ったものをどう扱えばよいか、毎回考え直すことになります。

確認者 — 誰が確認するか

出てきたものを誰が確認するかを決めます。私自身のケースでは、内容によって確認する観点が異なるため、確認する人(私)が何を見るかも、あわせて決めています。

権限 — どこまで判断してよいか

最後に、AIがどこまで判断してよいかを決めます。たとえば「下書きは作ってよいが、公開はしない」というように、線を引いておきます。

人が判断すること・AIに任せること

人が判断すること・AIに任せること
工程AIに任せる人が判断する
企画・構成調査・たたき台の作成方針との整合性
制作執筆・実装内容の妥当性
事実確認情報の整理・突き合わせ書かれている内容が事実として正しいかの最終確認
品質確認チェック項目に沿った確認読者に伝わる形になっているかの最終確認
公開—必ず人が判断する

どの工程にもAIを関わらせていますが、「公開」の行だけは人以外が判断することはありません。ここは運用のうえで最も譲っていない部分です。

正本を1つにする

資料が2か所にあると何が起きたか

実際に、ある調査レポートがGitHubのリポジトリではなく、パソコンの別のフォルダに保存されていたことがありました。正式な資料のつもりで作業していたのに、担当している側からは「その資料が存在しないように」見えてしまい、認識がずれる原因になりました。

どう解決したか

この経験から、プロジェクトの正本はリポジトリ側に統一する、と決めました。正式な資料は原則としてGitHubの管理下に置き、一時的な作業フォルダに保存したものは、作業が終わったタイミングで正本へ移したかどうかを確認する手順を加えています。単一情報源とは、すべてを1つの巨大なファイルに詰め込むことではなく、「この種類の情報はここを見る」という参照先を1つに決めることだと考えています。原本をどこか1か所にまとめておくという考え方そのものは、原本を作る(source of truth)でも扱っています。

置き場所を1か所に決めたあとは、その場所を誰のアカウントが持つかも決めます。担当者個人ではなく事業として引き継げる形にする必要があるかは、Google Workspaceがその基盤として必要かで、無料のGoogleアカウントとの違いから確認できます。

確認手順を決める

確認手順がないと、正しいものを壊す

正本を1つにしても、それだけでは足りませんでした。以前、もともと正しかった内容を、古い資料を信頼したことで一度誤って修正してしまったことがあります。1つの資料だけを見て、重要な前提を変えてしまったことが原因でした。

いま決めている確認の順序

この経験から、大きな前提を変える判断をする前には、1つの資料だけで決めず、複数の証拠(本番の状態、GitHubの最新状態、外部サービスの実際の記録など)を照らし合わせることをルールにしました。それでも矛盾が残る場合は、AIが勝手に結論を出さず、矛盾点と根拠を報告したうえで、人が最終判断する、という順序にしています。

あわせて、何を、いつ、なぜ変えたかを一行ずつ残すようにしました。履歴があると、古い判断のほうへ戻ってしまったときに気づけます。

実際に用意している指示書

指示書を目的ごとに分けている

各AIに渡す指示書は、目的ごとに分けて用意しています。すべてを1つの長い指示にまとめるのではなく、「執筆のルール」「確認のルール」など、役割ごとに分けている状態です。現在、目的の異なる指示書を10種類ほど用意しています。

指示書に書く項目

指示書には、その作業で何を任せるか、何を参照させるか、何を成果物として出すか、誰が確認するか、どこまで判断してよいかを、できるだけ具体的に書くようにしています。曖昧な指示ほど、前提のずれや、想定していない判断につながりやすいためです。

向いている人・向いていない人

同じ業務を月に4回以上繰り返している方や、AIに頼んだ結果を毎回作り直しているような方には、役割を仕組みにする発想が向いていると思います。逆に、AIに仕事を頼む頻度がまだ週1回に満たない方や、業務内容そのものをまだ言葉にできていない段階の方には、今はまだ早いかもしれません。

これは不要です

AIに頼む業務が週1回未満の場合

まだAIに頼む頻度がそれほど高くない場合は、5つの要素を決めるより先に、まずAIに慣れることを優先してよいと思います。仕事を切り分ける前の段階については、AIに頼む前の業務整理にまとめています。

業務内容がまだ言語化できていない場合

任せたい業務そのものがまだ漠然としている段階では、仕組み化より先に、業務を書き出すことが必要です。何から手をつけるか自体で迷っている場合は、小さなお店の「優先順位」の決め方もあわせてご覧ください。

よくある質問

AI社員は人を雇う代わりになりますか。 なりません。実態は、役割・入力資料・成果物・確認者・権限を決めて運用しているだけで、雇用の代わりという位置づけでは考えていません。

何人分の仕事ができますか。 数値ではお答えできません。作業時間を測って比較しているわけではないためです。

AIエージェントと普通のチャットAIは何が違いますか。 技術的な違いというより、5つの要素があらかじめ決めてあるかどうかの違いだと考えています。

まとめ:まず1つの業務で5要素を決める

5つを決めてから、資料の置き場所がずれたり、正しかったものを誤って直したりすることは、今のところ起きていません。正本を1か所に決めたことと、前提を変える前に複数の証拠を確認する順序を決めたことが効いていると考えています。ただし、この形にしてからまだ約2週間です。続ける中で足りない部分が見つかれば、同じ考え方で見直していく予定です。

複数のAIを使えば自動的に仕事が仕組み化されるわけではありませんでした。実際に効いたのは、役割・入力資料・成果物・確認者・権限をあらかじめ決めておくことです。私が経験した失敗も、AIの性能不足というより、こちら側の運用設計が曖昧だったことが原因でした。

まずは、繰り返している業務を1つ選び、この5つの要素を紙に書き出してみてください。特に入力資料を1か所にまとめることから始めると、次の一歩が見えやすくなります。

現在位置:STEP 4 / 5

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  2. 02これから

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  3. 03これから

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    仕組みにする

この記事はGrowth MapのSTEP 4:仕組みにするに位置します。このSTEPの詳細を見る

このSTEPで学べること

  • 業務棚卸しとSOP・マニュアル
  • AI向け原本
  • ChatGPT・Work・Codexの役割
  • 自動化・Drive連携・通知

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